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あなたに不利な証拠として

久々に本を読み終えました。4月の異動経験後、普段の読書時間である通勤電車での行き帰りや就寝前のひとときもほとんど仕事の書類作成か読みこなしに充てていたため、そもそも職場に本を持って行ってもただカバンの錘にしかならなかった日々が続いていました。

では、その日々を乗り越えたのかと言うと、実はそうではなく、本だって読まなかったらやっていられないぞ!という精神的な休息感を求める欲求の結果だと自分では思ってます。

そして実は2冊の本を併行して読んでいたのですが、そのうちの一冊、ローリー・リン・ドラモンドさん著の「あなたに不利な証拠として」を読み終えました。

ハヤカワ・ミステリから刊行された警察もの小説ですが、これまで本格的に読んだその類の書が、スウェーデンのマイ・シューヴァル、ペール・バルー夫妻によるマルティン・ベックシリーズと、イギリス、オクスフォードを舞台にしたコリン・デクスターのモース警部シリーズしかなかったせいか、この本が女性の警官を5人取り上げて、連作短編集に仕立て上げているのに、大変な新鮮感を味わいました。

ストーリーも奥深く、描写も女性の視点らしく細やか。単なる事件ものとは大きく一線を画す内容です。アメリカでは収録作の「傷痕」がアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀短編賞を受賞したそうですが、日本でも宝島社の「このミステリーがすごい」2007年海外部門第一位を獲得するなど支持者は多いようです。

淡々とした語り口が持ち味で、ときおり恐るべき被害者の描写もあり、心臓に若干の負担はかけますが、そこで主人公を通して現実と回想を行き来しつつ語られる生きること、死ぬこと、向き合うこと、逃げること等に対する真摯な言葉は、シンプルな文章であるだけに、より読者側に考えさせながら読ませる、という精神的な労働を求めているような気がします。それでいて次から次へとページをめくらせる力を漲らせているのは、主人公として描かれている女性達がいずれも魅力的であるからに違いありません。

因みに本書のタイトルは、アメリカで警察官が犯人逮捕の際告知が義務づけられている、ミランダ宣言という有名な言葉の一部だそうです。そういわれ見れば映画で耳にしましたよね。
「あなたには黙秘する権利がある。あなたの発言は法廷であなたに不利な証拠として扱われる可能性がある。あなたは弁護士の立会いを求める権利があるもし自分で弁護士に依頼する経済力がなければ、公選弁護人を付けてもらう権利がある。」

因みにミランダというのは、メキシコ移民であったアーネスト・ミランダ氏の名前から採られたもので、こうした宣言が定められたのは、彼が誘拐と婦女暴行の罪で州裁判所にて有罪判決を受けたものの、上告審において訴訟手続きに問題があったとして後に無罪となった裁判に由来するものだそうです。
2007年05月29日 | Comments(0) | Trackback(1) | 遠い音楽日記
コメント

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soramove 2008年05月10日 10:42:48
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