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My Funny Valentineに酔い椎葉の春節に泣く

大泉学園inFでの恒例インプロライブ。今回はインプロのベースになった洋子さんの曲の選曲が素晴らしかったのと、千野秀一さんが曲を「つけてさしあげた」純粋詩の曲がこれまた秀逸で、これまで体験した洋子さんのインプロライブの中でもダントツに感動的なライブでした!(このためレポートも長いです~。)

カエルのアコーディオニスト

お店のカウンターにあったカエルのアコーディオニスト

スタートは少し遅れて20:10頃でしたでしょうか。子ウサギが飛び跳ねるようなかわいらしい千野さんのピアノイントロから詩をコミカルに洋子さんが歌う曲から。この曲での洋子さんは、ハクション大魔王の壺のような楽器も叩きました。今日の第一のポイントはインプロライブと称しつつも上野さんが言葉を歌う曲が多かったこと。このため、全般的に洋子さんのアスタリスクの活動をイメージさせる部分が多く、それに既成曲が加わってとても親しみやすいライブになっていたのだと思います。

さて、しばらく前半を占める曲の詩は、稲垣足穂(たるほ)さんという方の作だそうです。ネットで調べてみると、おおむね次のような方でした。

「1900年12月26日、大阪船場生まれ。1914年、関西学院普通部に入学。1921年、上京し「チョコレット」と「星を造る人」を「婦人公論」に発表。1923年、佐藤春夫の序文になる、『一千一秒物語』をイナガキ・タルホ名義で発表。「文藝春秋」、「新潮」、ハイカラ趣味の「新青年」を主な発表の場とし、1926年、『星を売る店』、1928年、『天体嗜好症』を刊行。この頃男色家江戸川乱歩との知己を得る。
1930年代にはいると、ニコチン中毒で作家活動一時停止。1940年、自分がホモセクシャルであることを告白した自伝小説「弥勒」の一部を発表。翌年、チフスにかかり、このときの病院生活は後に「死の館にて」へと結実。
敗戦後は、「弥勒」以降、「悪魔の魅力」、「A感覚とV感覚」、「ライト兄弟に始まる」、などを発表。
1968年の『少年愛の美学』では第一回日本文学大賞に輝く。
最後の本は1977年、『男色大鑑』。同年10月25日、結腸癌で77歳で死去。」

「へんてこな三つの晩」、というのが次の曲の連作詩のタイトル。洋子さん、ここではスプーン二本を組み合わせたような楽器を手にフラメンコのように叩いて見せたかと思うとトロンボーンを超簡略化したような縦笛を吹きならし、2オクターブの木琴を膝にかき鳴らす、というようにインスト部分は十分インプロってました。輝くのは千野さんのピアノです。ご自身で曲を「つけてさしあげた」とおっしゃるぐらい、インプロ風ながら非常によくまとまった流れがあって曲・演奏共にすばらしかったです。途中千野さんも朗読されてました。連作詩の3作目の曲ではエレキ大正琴が千野さんにより奏され、洋子さんは細い棒と手のひらサイズの樽がひもで結んであって、その棒を操るとのこを挽くような音が出る楽器(?)による弾き語り。続いて千野さんはシタールのような音がループして流れるよう操作してからエレキ大正琴で伴奏をつけ、洋子さんはタンバリンのような丸い入れ物に細かい粒が入っていて波ライクな音を奏でる楽器?を奏しつつ、お得意の呪術風歌唱で詩を朗するという試みでした。千野さんはピアノへも戻るのですが、これがまたグランドキャニオンを思わせるようなダイナミックなもので感動。因みに連作は1曲目から「パツパツと消えてしまった話」、「筋を引いて走った話」「アセチレンがうまく灯らなかった話」、「そしてもう一つ」というそうです。

しかしもっともだなぁと思いました。千野さん曰く、インプロライブは曲の終わりを見分けて拍手を上手く入れられるかどうかがこういう音楽に慣れ親しんでいるかどうかのバロメータだそうです。なるほどなるほど。

次の曲は、「千野さんをイメージして心をこめて書いた曲」とのご紹介で、サプライズ第一弾、アスタリスク2より「yk* opus 08」の発展型、「yk* opus 08.1」。もともとアスタリスクの曲を演奏されるとは思っていなかったのですが、考えてみればCDでもこの曲千野さんがピアノを担当されているのですよね。読みが浅かったです。ちょっと洋子さんの語りのタイミングがずれて笑顔。やはり洋子さんは笑顔が可愛い(音楽と関係なくてすみません)。一通りCDのとおり演奏された後、しばしインプロ演奏。ここで洋子さんが取り出したのはバイオリンのように弓で弾くチターのような楽器(また名前がわからずです)。こうして見ていると洋子さんの背後にある箱は楽器のおもちゃ箱のようになっていて、インプロの間はひとりマーシュ・マロウ状態だったかと。

そして演奏は途切れることなく続き自然と曲は調性を持ち始め、ジャズっぽい雰囲気へ。ここでアスタリスクに次いで今日度肝を抜かれた2曲目、なんと超ど真面目な洋子さんジャズ・ヴォーカルによる「My Funny Valentine」!なんです。洋子さん、間違いなくジャズシンガーにもなれます。たぶんあの場にいたお客さんすべてが洋子さんの大人のヴォーカルに酔いしれたのではないでしょうか。私も身も心も溶かす歌声とはこのようなものを言うのではと思うくらい、どっぷりと満喫させていただきました。以前inFに鬼怒無月さんを加えたメンバーの際おじゃましたときはクリスマス前だったのでクリスマス・ソングを歌われていましたが、今回はバレンタインで来ましたか~。とにかく感動ものでした。後半は洋子さんカズーによるソロ演奏も情感たっぷり。それにしても千野さん、どんな曲も豊かな感性で音が構成されていてさすがでした。

ここで魔法瓶水筒にお酒を入れて、ときどき口にしている洋子さん、千野さんの突っ込みに今日はギアが違うところへ入っている宣言。

鉄琴と洋子さんの(お店備え付け)カエルのマラカス。ややリズミックな調子から千野さんはピアノへ。流れるような心地の良い音。洋子さんのハミング。1stステージ最後の曲は夢のような響き。そしてこの曲の後半、千野さんが鉄琴に戻ると、洋子さんも目の前に初めから設えてあったハンドベルを使用。ややガムラン風の打楽器大会から千野さんがピアノへ戻って締めて終了です。

この時点で既に21:25。かなりボリューム感のあるライブの予感です。私は新潟のお酒「緑川」をいただきながら聞いていたのですが、この日の「緑川」、マスターによるといつもとふた味違ううすにごり、この時期限定だそうで、アルコール度数も18度超。非常に心地よくマイルドな口当たりを楽しめたことも音への集中力を高めてくれていた気がします。しかもこの畳20畳ほどの音楽の密度の濃い空間の中に洋子さんと存在し、同じ空気を吸っているというのもまた嬉しいことです。

今日の洋子さんはグレーの上着にジーンズ生地風のロングスカート。いつも歌唱の際足を組まれるので、ロングにされているのでしょうか。髪は普通にストレートにして後ろに束ねておられました。

今日は雨だったせいもあり、空席を除いて満席という若干少なめな感じでしたが、その分この瞬間を聴いている人は私を含めこれだけなんだ、と感じてしまうぐらい、それほど今日のライブには満足感が伴っていました。お店のカウンターでそんなことを考えながら、おつまみに山形名産の漬け物で幾種類もの菊の花を漬けた晩菊(ばんぎく)漬けを初トライ、日本酒に合うわい!と思っている頃、時は2ndステージへ…

21:45、お二人が外から戻り早くも後半開始。この曲だけはポジションを交代し、ステージ向かって左のグランドピアノの席に洋子さん(外から店内へ入ってきて黒のコートは着たまま)、右手に千野さんです。洋子さんは豚の人形をつぶして音を出したり(あのおもちゃの人形をつぶすときに出る音ですよ)50センチほどの赤いプラスティック筒でピアノを叩いたり、さらにはそれを横にしてピアノの鍵盤を叩くという荒技に出たりしていました。今日の演奏曲中恐らくもっとも長く、また即興性の高い曲だったと思います。この間千野さんも洋子さんのおもちゃ箱から楽器を取り出したり、金属製の壺の周りに鉄棒が何本も縦についていて、しかも壺の中には水を入れて使うとう楽器なのかなんなのかよくわからないものをお使いでした。途中から洋子さんは機械操作の領域に入り、ハウリングを起こしてみたり、まさにエレクトロニクスによる池田亮司状態。なかなか(他にいい形容詞が思い浮かばず)でした。そんなカオスの中、洋子さんがグランドピアノをアスタリスク風に弾く姿を見ることができたのは嬉しかったです。

ラベルの「夜のガスパール」風かと勝手に思った千野さんのピアノイントロに導かれ、後半2曲目の黒いブルース調の曲がスタート。途中、落とすと電子音を発するスーパーボールも千野さんにより効果的に使われておりました。しかし、なんといってもこの曲の圧巻は洋子さんのヴォーカル。千野さんのブルース演奏に合わせ、まさにルイ・アームストロングかと「聴き」まごうしゃがれ声を見事に演じ、雰囲気たっぷりに魂の世界を表現。洋子さんの声はまさに変幻自在です。

この後の曲も割と調性のある歌、シャンソンと思われる曲が続きました。残念ながら曲名がわからずですが、洋子さんはちゃんと歌詞を歌っていて、前半の「My Funny Valentine」ぐらい普通の歌曲化してました。哀愁漂うパリの街の冬の風景が繰り広げられました。シャンソン歌手としての腕前も素晴らしいことを実証。本当に歌えない歌はない方です。

そして次がこの日最大のサプライズ、ジャズ風のイントロ、ミニマム調の伴奏に導かれて洋子さんが朗々と歌い出したのはZABADAKの名盤「桜」収録の「椎葉の春節」ではないですか!伴奏は完全にインプロ風になっているのですが、ヴォーカルは敢えてCD通り。まさかインプロライブで歌われようとは…もうここで涙の感激でした。言葉なしです。

ライブはいよいよ最後の曲へ。千野さんのピアノと洋子さんのHOHNERのミニアコーディオンのバトル。千野さんは淡々と左手でリズムを刻みながら、あれだけ弾いて疲れないのかと思うほど高速に動き回る超絶右手での演奏。そして洋子さんは逆にやや抑え気味の耽美的な演奏で応じておりました。

いやはや大満足のライブ。アンコールはこの間の20周年ソロライブよろしく無しかと思いきや、ちゃんと戻ってきてくださいました。このとき既に23時直前。そこで飛び出したアンコール曲が、これまたなんと西田佐知子さんの歌で有名な「アカシアの雨がやむとき」。しっとりと、SSS風に歌われる洋子さんの歌声は、今日聴いていた人全員の胸に刻まれたことでしょう。

終了時間23:05という長丁場、私も終電が迫っていて長居はできませんでしたが、マスターと共通のミュージシャン仲間の話題でちょっと会話して退出。ライブ後のお二人にお目にかかれなかったのは残念でしたが、それでも雨上がりの道を十分暖まった胸を抱いて家路につきました。(おしまい)

上野洋子さんのハンドベル

演奏終了後の上野洋子さんのハンドベル!



2007年02月18日 | Comments(0) | Trackback(0) | 遠い音楽日記
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