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アルバムよ、どこへ行く

Pink FloydがEMIとの訴訟で勝訴した、というニュースが先頃ありましたね。報道によれば、インターネット上で曲をばら売りすることについて、アルバム制作時に、バンドの承諾なしにアルバムは分割できないとの契約を交わしていたことが、データ販売にもあてはまるかどうかが争われたようです。

「狂気」や「アニマルズ」、「ザ・ウォール」など、いわゆるコンセプト・アルバムを次々と生み出していたPink Floydとしては、もともとアルバムそれ自体がトータルで1つの作品なのであって、ばら売りは想定外なのでしょう。EMIとの契約には「アルバムの芸術性を保護する」という条項が含まれていたそうで、これを裁判所はデータ販売にも適用されると認めたものです。

このニュースを私は個人的に嬉しく思いました。The Beatles以降、私が聴いてきたプログレッシブ・ロックの多くはコンセプト・アルバムの良作を産み出してきましたし、コンセプト・アルバムと敢えて言わなくても、もともとポピュラー音楽は、シングルの他にLPというひとつのものの中にある程度の長さの音楽を収録する技術ができて以来アルバムという形で届けられてきたものだ、という印象が強いからです。

A、B面それぞれおよそ23分の中に、アーティストそれぞれの思いを曲順にして世に出したわけですが、聴く側もそれをそのままステレオで聴いて、A、B面で裏返したり、カセットのやはりA、B面に録音して聴いたりしたものでした。

どのアルバムも、アーティスト側が用意した1曲目からラストへと向かう「流れ」というか曲のつながりで音楽を経験してきたのだと思います。

ところが、残念ながら、音楽配信は、こうした流れをもしかしたら破壊してしまったのかもしれません。

CDでまず無くなったのはA面とB面の「間」でした。ここまでならまだ許せた気もしますが、やがてこの「流れ」に「ボーナス・トラック」というものが追加されるようになり、本来終わるべきところで終わらなくなったのはどうだったのでしょう。

そして遂に音楽配信になって、「アルバム」という概念が取り払われ、1曲1曲があたかも独立した曲であるかのように、一人歩きし始めてしまったのです。

iTUNESでも、ときどきアルバム購入時のみ購入できる曲(ほとんどは長大な曲=つまりシングルっぽくない曲)というのがありますが、これには意味を感じません。アーティストの意向とは全く違う次元で、単に長いから、というだけの価値判断なような気がしてなりません。結局はまるで音楽がすべてシングル曲であるかのように見られるようになってしまわないでしょうか。

例えば私がThe Eaglesで好きなのがRandy Meisner氏の手&声になる曲なのですが、それらでシングルになったのは「Take It To The Limit」だけです。でも、その他の「Certain Kind Of Fool」や「Midnight Flyer」、「Is It True?」、「Try And Love Again」等の名曲が若者の手に届く機会がうんと少なくなってしまうような気がしてなりません。

そのアーティストが産み出すたくさんの音楽に一度に触れることができたアルバム。こうしたアルバムを聴くからこそ、そのアーティストへの理解が深まり、思いが強まり、ファンとして長く聴き続ける、という行動につながっていたように思います。そういう人が増えなければライブへ足を運ぶ人も増えないでしょう。

これからのアーティスト、たまたま耳について気に入った1曲ごとにばらで購入されて、果たしてどこまでその人のファンと言える人を増やしていけるでしょうか。音楽を販売するビジネスの動向も大事ですが、もっとその根底になければならないものが日々失われていっているような気がしてなりません。
2010年03月29日 | Comments(2) | Trackback(0) | 遠い音楽日記
コメント
No title
>BJH大好きおじさんさん

まさしく!しかも「メロトロンの音を拾う」なんて...なんかそういう姿を思うと懐かしさで涙が出そうです。そういう効き方を自分自身が今していないことを真っ先に反省しなければならないです。
Worzel URL 2010年03月31日 23:56:28 編集
全く同感です
特に洋楽のLPは五感をフルに使って、ジャケットを眺め、帯を眺め、邦題と原題の違いを楽しみ、アルバムのコンセプトを楽しみ(名盤にはたいてい良いインスト曲が繋ぎで入っていましたよね)、勿論演奏を必死になって聴き(メロトロンの音を拾うなど最たるもの)、また英語の歌詞を聞き取る努力をしたりして、妄想を膨らませてきましたが、もはや時代遅れなのでしょう。寂しいですね。
BJH大好きおじさん URL 2010年03月30日 23:23:06 編集

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