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長島有さんの2作を

文庫本のタイトルで言えば、第一回大江健三郎賞を受賞した連作集「夕子ちゃんの近道」がとても心地よく、引き続き芥川賞受賞作「猛スピードで母は」も読破。久しぶりに新たなお気に入り作家を見つけた気分になれました。

どちらの作品も、私からみれば自分を持たない、か、自分がまだ確立していない人が主人公。それを取り囲む登場人物も、どちらかというと主人公と同類的な人が多い気がします。これまたどちらかというと、私自身は「自分の思う自分」に凝り固まっているタイプなので、こうした登場人物には、自分にない何かを強く感じ、これまではどちらかというと敬遠気味だったかもしれません。

でも、今回、「夕子ちゃんの近道」という本を読んでみて、思いの外新鮮に読めました。特にこの本の文体が素敵です。必ずと言って良いほど、会話文、つまり「 」で囲われている部分に続いて、まださらに会話文が書かれています。それが、言葉で言っているのか、心で思っているのか、どちらか常に考えさせられる不安定感が不思議に心地よく、また、この不安定感が主人公の人柄そのもののように思え、とても上手く表現されているなぁ、と感嘆しました。

連作を読んでいて、ここでどうしてこう行かないんだ、と何度も思わされますが、それも作者の意図に上手くはまっているのかもしれません。そしてこの達成感のなさこそが、この小説の神髄なのではないか、とさえ思いました。

この勢いで「サイドカーに犬」と「猛スピードで母は」の2編が収録された本も読みました。

文体こそ普通の形式をとっているものの、何気ない仕草の描写で心情を想像させる手法がこの2作では秀でていて、やはり素晴らしいと思いました。特に後者で母親と暮らす慎くんが、短い物語の冒頭からエンディングまででいかに成長することか。起きている出来事や場面はそう大きく変わっていないにも係わらず、そのことがとても強く感じられます。

先日の椎名誠さんの「波切り草」以来、久々に読みたい本に次から次へと出会えている幸せをかみしめながら、次も読もう!という意欲に充ち満ちている今日この頃です。

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2009年05月20日 | Comments(0) | Trackback(0) | 遠い音楽日記
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