ある方のTwitterでの呟きから考え始めたことがあります。
それは、
著作権や
著作隣接権の
保護期間が切れると、The Beatlesの今回のリマスター・ブームのようなものが、もしかして来なくなってしまうのかなぁ、ということ。
例えば、映画の場合、私の知識では、これまでDVDで発売していた作品をBlu-rayディスクで発売する場合、そのスペックを最大限に生かすためには新たにオーサリングし直して、Blu-Rayディスクに適応するような高画質にして世に出す必要があるのだそうなのです。このオーサリングには相応の手間や費用がかかる、ということも聞きます。
でも、例えばDVDで映画を売っているうちに、映画の
著作権が切れてしまうと、もう手間暇かけてBlu-ray仕様に仕上げよう、というインセンティブが映像ソフト会社側でなくなってしまいはしないでしょうか。なぜなら、手間暇かけて発売しても、すぐ誰かにコピーされて500円Blu-rayとかで売られてしまったら、手間暇かけた人が損、っていうことになってしまいますよね。
同じように、The Beatlesだって、このままいけば最初のアルバム「Please Please Me」は1963年1月発売ですから、50年後、2014年までで
著作隣接権の存続期間終了!そうすると、いくら素晴らしい技術が登場して、さらに磨きがかけられた「超」リマスター版を出そうと思っても、出したが最後コピー品が市場に出回って(もちろんこの時点ではメンバーの
著作権は存続していますから、その許諾は必要だとしても)、ビジネスにはならない気がします。
クラシックやジャズのスタンダードは、もちろん初演が残っていればその意味はあるものの、オリジナルとはまた別に、そのときどきの演奏者が演奏者の思いで再現することによって弾かれ聴き継がれてきているものですよね。
でも、1950年代後半に生まれたポップスやロック、あるいは映画のサウンドトラックでさえ、オリジナルである、ということに重きが置かれているのではないでしょうか。もちろん素晴らしいカバー曲もありますが、実際のところそれらはオリジナルとして存在する楽曲の数に比べればごくごくわずかだと思います。カバー演奏はやはりカバー演奏と受け止められてしまうのでしょう。
映画そのものも、オリジナルが重要ですよね。リメイク版も作られますが、リメイク版はやはりリメイク版です。
そんなことを考えていると、映画や音楽のオリジナルそのものである、いわゆるマスターは、その権利が消滅して以降、どういう運命をたどるのだろうかと心配になってしまいます。映画の
著作権や音楽の
著作隣接権が消滅してしまい、保存されているマスターの経済的価値が失われてしまうと、1企業が保存し続けるのにも限界がある中、文化遺産として公的機関が保管するのか、それともどこかで朽ち果てていってしまうのか・・・考えただけでも寂しい結末を思ってしまいました。国宝だって、手入れを怠れば傷んでしまうものもあるでしょう。
音楽も、クラシック音楽は楽譜が残っていればそれで問題が起こらなかったから、というのとは違う視点で、ポップスやロックのオリジナルそのものを文化財として保存することを考えていかなければならなくなる時期に来ているのではないかと思います。
思いつきなので、もっと考えてみなければならないと感じていますが、このあたりを深掘りせずに
著作権保護期間の延長について様々な議論がされている中、もう少しこうした点も考え合わせる必要があるのではないでしょうか。
今日は映画の
著作権、音楽の
著作隣接権について思いつきを書いてみましたが、せっかくですので、その他の
著作権の
保護期間一般に関しても少し私見を書きたいと思います。
私個人としては、
著作権保護期間については、やはり諸外国とバランスをとることが望ましいと思っています。Jimi HendrixやJanis Joplinの
著作権は
著作権法上2020年で消滅。この後は諸外国ではまだ保護される彼らの
著作権も日本では保護されず、自由に彼らの曲を使えることになります。
著作隣接権も(今の
保護期間のままなら)この時点では消滅していますから、どうなるかというと、英米では
著作権が保護されて、著作者等の許諾を得ないものは違法であるのに、日本では違法ではないために、誰でも好きなように彼らの音楽や音源を使えるわけですから、そうしてできたものがまだ
著作権を保護している国に流入すると、日本は
著作権天国(コピーライト・ヘブン)と誹られ、なんだか文化を大切にしない国であるかのように扱われてしまうことになるのでしょう。私は嫌です。
私は日本人ですが洋楽が大好きであるように、音楽には国境がない、と言われているわけですから、ルールも国際的に調和していることが望ましいと思います。そして何より、大事な私たち人間の財産である音楽文化が守られるような制度を国際的に確立していくことができればいいと思います。